第43話「愛をこめて姫を撃て!」

 第43話は、オーロラ姫が、ロケットに乗せられて、ラセツ軍団にさらわれそうになった時に、ジョーゴが姫を撃つお話です。

 私は、この回はかなり好きです。小学生の頃に、録音したテープを聞いていましたが、冒頭の電波望遠鏡システムが、カラカラとまわる金属音が、今でも印象に残っています。何度も繰り返し聞いた証拠だと思います。

 小学生の時に見たときには、やはりオーロラ姫を、ジョーゴが撃ったことには、本当に驚きました。でも、オーロラ姫が死んでしまうと、アニメが終わってしまいますので、どんな種明かしがあるのだろう、と思いながら見ていました。

 撃ったように見えるけれども、実際には撃っていないのかな、とか思いました。でも、ベラミスがやって来て、「心臓が止まっている。」と言いますから、それはありえません。普通は、心臓が止まっているということは、死んだということですから。

 どういうことなんだろう、という想いが頭の中をくるくるとまわっていました。そして、「一時的に脈を止める冷凍麻酔銃を撃った。心臓は1時間もすれば、動き出す。」と聞いた時には、「こんなことができるんだ。」と、本当にびっくりしてしまいました。

 でも、子供の頃は、ベラミスが「味方と頼る男に撃たれて、こんな荒地に若い命を散らす。オーロラ姫、これがあなたの運命だったのか。」と言ったセリフの意味は、分かっていなかったと思います。このセリフや、最後の「オーロラへの深い愛を見抜けなかった私の負けだ。オーロラ姫、あなたは何という幸せな。」という言葉の意味が分かったのは、20代に見た時でした。

 クーゴは、ジョーゴが姫を撃とうとした時に、止めようとしますが、ジョーゴに「俺を信じてくれ。」と言われて、ひきさがります。この時には、どういう心境だったのでしょう。ジョーゴは、本当に撃ってしまいます。

 ハッカが、ジョーゴを殴ろうとした時にも、クーゴは止めませんでした。クーゴも、ジョーゴを殴りたい心境だったのでしょうか。それとも、姫の心臓が止まって、何も考えられない状態だったのでしょうか。心の奥底では、ジョーゴが姫を殺すはずがない、と考えていたとは、思いますが。

 この後、ジョーゴは、「クーゴ、あの時、お前が信じてくれなかったら、姫を撃つのをじゃましていたら、今頃姫は。礼を言うぜ、クーゴ。」と言い、クーゴは、「いや、俺の方こそ。」と言います。このクーゴの「いや、俺の方こそ。」の声が、とても優しい感じで、私は、大好きなのです。

 ジョーゴが撃つ時に、もしもハッカが元気で動ける状態なら、ハッカは、絶対にジョーゴが撃つのをじゃましていたと思いますから、ハッカを動けない状態にしていた脚本も、うまいな、と思いました。

 この回では、冒頭のクーゴのセリフも、とても良かったと思います。SOS信号が来た時の言葉です。「優しい気持ちをなくしたら、おれたち生きてる資格なんてないぜ。」「姫、俺にもわかってきたぜ。人のためにつくすってことが、どんなに素晴らしいか。」

 これらは、とても印象に残るセリフだと思いますが、なにぶん、後半で、オーロラ姫が撃たれたことがショッキングすぎて、前半のこのセリフが、頭の中からふっとんでしまいました。 

(第43話のタイトルコール 石丸博也) 

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